豊島岡女子学園中学校 2026年2月2日(月)実施1回入試レポート
首都圏最高峰の学力を誇る女子受験生たちが集う豊島岡女子学園中学校。2026年2月2日(月)に実施された1回入試について、あわせて学びの本質を追求する同校の教育について、その一端をお知らせいたします。〈取材・撮影・文/市村幸妙〉
利便性の高さと充実の施設、学習環境の良さも魅力
JR山手線や西武池袋線、東武東上線、東京メトロ丸ノ内線・副都心線の池袋駅の東口という、交通至便な場所に位置する豊島岡女子学園中学校・高等学校。35番出口を出たらそのまままっすぐ、徒歩約7分で到着します。
最も近いのは、東京メトロ有楽町線の東池袋駅で、2番出口からは歩いておよそ2分、首都高5号池袋線の下をくぐり、横断歩道を渡るとすぐ右手に同校が見えてきます。
池袋という繁華街にありますが、学校周辺はオフィス街のため静かで、かつ防音対策なども施された充実した施設を誇るため、教育環境として申し分ありません。
豊島岡女子学園へ足を運んだことのある方ならご存知だと思いますが、同校の校舎は竣工して25〜40年ほども経っているにも関わらず、非常に美観が保たれています。これは生徒たちが日々、自分たちが使う場所だからと丁寧に掃除し、愛着を持って大切に学校生活を送っているから。生徒たちで校舎や教室をきれいに保つことは、同校の伝統です。
以前はトイレ掃除も生徒たちの手によるものでした。しかし、コロナ禍以降は感染症対策として行われることはなくなっていました。
ただし2024年以降から文化祭などの際には、自分たちで掃除して来校者を迎えようということで、生徒によるトイレ掃除が実施されています。
今年の入試前日にも、受験生のために教室はもちろん、トイレ掃除も全学年の生徒たちの手で行い、受験生たちをきれいな環境で出迎えました。
なお、入試当日は中3生たちが受験生のサポート役を務めています。
サンデーショックは志望者にとって吉
豊島岡女子学園中学校の入試は例年通り、1回:2月2日(月)、2回:2月3日(火)、3回:2月4日(水)に実施されました。
出願者数は、1回:665名(別に、「算数・英語資格」:79名)、2回:788名(同:82名)、3回:609名(同:91名)となっており、2月2日の1回はサンデーショックの影響はありながらも、多くの受験生が同校の入試に臨みました。
試験は4教科(300点満点)で実施されますが、国語・算数はそれぞれ50分間、社会と理科はあわせて50分間で行われます。
なお、入試直前の2026年1月28日に公開された、校長の竹鼻志乃先生によるブログ『豊ちゃん日記』には、「努力の花、春に咲け!」と題し、同校を目指す中学受験生と大学入試に臨む高3生へのエールが綴られていました。
自身の将来を掴み取るべく努力を積み重ねてきた、中学受験生、大学受験生への温かな思いが伝わってきました。
集合は3つのグループに分かれ、登校順に行われる
コロナ禍以降、時間帯を3つのグループに分けて登校順に着席する集合方式を取っている豊島岡女子学園。点呼・説明は、グループ1が8時5分〜20分、グループ2は8時15分〜30分、グループ3が8時25分〜40分となっています。試験終了時間は開始時間に伴い、10分ずつずれていくため、入退場時の混雑が回避される設計になっています。
受験生の退場時間について、保護者はホームページからアクセスできるので安心です。
受験生が試験会場に入れるのは7時以降。それ以前に校内へ入った受験生たちは、エントランスの奥側にある「蝶の間」と呼ばれる、計16席ほどの応接スペースで待機しています。
このスペースで待つ受験生は年々増えている印象ですが、筆者が学校に到着した6時50分頃にはもうほぼ満席。入りきれなかった受験生たちは、竹鼻先生をはじめとする先生方が受験生を出迎えるエントランス内で待つよう伝えられていました。
そこは実に竹鼻先生が立つあたりの位置。にこやかな竹鼻先生とお話しできるくらいの距離感で待てるのは、特別感があるように感じましたが、受験生たちの様子を見ると……、やはり緊張しちゃいますよねと思いました。
しっかりとした足取りで試験会場へ向かう受験生たち
7時になるとまずは「蝶の間」にいた受験生から、そしてエントランスで待機していた受験生と、順に誘導され、上履きへと履き替えるスペース(車両出入口)へと進んでいきます。
保護者が控室である講堂に入れるのは8時30分以降のため、正門の中に入れるのは受験生のみです。
校内へ一歩足を踏み入れると、竹鼻志乃先生をはじめ、受験生たちを出迎える先生方の明るい声が響きます。あいさつを返す受験生、緊張しているのか足早に進む受験生などさまざまです。
万が一、上履きや上履き袋を忘れた場合、慌ててしまうかもしれませんが、靴カバーや袋が豊富に用意されているので、安心して学校へ向かって大丈夫です。ただし、筆者が見ていた限りでは、これらを使用している受験生はいなかったように感じます。
7時を過ぎても離れがたいのか、正門の外ではしばしの時を共にする受験生親子たちも。また、小5以下と思われる受験生たちの姿も認められました。
8時25分頃に保護者入場口である車両出入口の外側へ伺うと、複数の保護者の方が待っておられました。入校の際には、受験生の保護者であることを証明する願書類の提示が必要になります。
控室は講堂のほかに地下の食堂もあり、ここは飲食が可能なので、設置されたコーヒーマシンのドリップコーヒーでひと息つくこともできます。
「算数・英語資格」入試も同時に実施
2025年から始まった「算数・英語資格」入試は、算数の一般入試と同問題・同時刻で実施される試験です。算数の得点を2倍したものに、英検級によるみなし得点を加えた300点満点で判定されます。
みなし得点は、3級50点、準2級70点、準2級プラス80点、2級90点、準1級以上100点。
この「算数・英語資格」入試出願者のうち、一般入試を併用する受験生は各試験で半数くらいおり、判定のチャンスが2回あります。
「算数・英語資格」のみを受験する場合は、算数の試験は9時50分からなので、入室は8時40分以降になります。
竹鼻先生にこの入試を経て入学された在校生について伺いました。
「小さい頃から英語を習っている方や小学生の英検取得率の増加を実感します。本校では海外からの編入生の受け入れも増えているので感じていたことですが、英語を流暢に話せたり、高い英検級を取得していたりしても、英文法が完全ではないようで、入学後の定期考査の得点に必ずしも結びついていないというケースも散見されます。
それでも例えば、英語弁論大会やインドプレゼン交流会で活躍したり、放課後の選抜レッスンEnglish Academicsに参加したり、それぞれの得意を伸ばせるよう後押ししてあげたいと思っています。その一方で保護者の方々からは、バランスよく英語を学んでほしいというご希望も多く、5技能が偏ることなくしっかりと学べる環境を用意しています」
理系にも定評のある豊島岡女子学園の学び
文科省により、SSH(スーパーサイエンスハイスクール)に指定されている豊島岡女子学園。
中学生は「総合的な学習の時間」で探究学習に取り組みます。中3では「探究」という学校設定教科があり、高校から本格的に始まる「科学探究」に向け、グループで仮説や検証方法を行うなど、“探究の学び方”を習得します。
また「探究Basic」として、希望者が参加できるプログラムも用意されています。希望制といっても、半数以上の生徒が参加しており、意欲的に探究を深めています。
高1では「科学探究Ⅰ」とし、本格的に探究活動を行っていきます。テーマごとにゼミを設定し、計画を練り、自ら課題を発見し、探究を重ねながら学びを深めていきます。
なお高2では、理系は「科学探究Ⅱ」、文系では「総合探究Ⅱ」と授業の名称が変わります。理系は主にサイエンスをテーマに取り扱いますが、文系の生徒たちは人文学系・社会学系の課題に取り組んでもOKです。
これらの探究について、竹鼻先生は話します。
「高2の1年間では足りないと、高3になっても希望して探究を続ける生徒もいます。さらに、ティーチング・アシスタント(TA)として、OGの大学生や大学院生たちが土曜日に実施される探究の時間にサポートとして来てくれています。在校生や教員にとってありがたいのはもちろんですが、彼女たち自身も大きな学びの機会となっているようです」
学年を超えて深める学び
なお、先輩から後輩へ研究を引き継ぐための「引き継ぎ会」がある同校。教務部長の十九浦理孝先生が教えてくれました。
「『ブラジルナッツ現象における密度の違いによる変化』は、2024年にSSH指定校の生徒たちがその探究成果を発表し合う、SSH生徒研究発表会でポスター賞を受賞したテーマですが、現高2の生徒たちが先輩から引き継ぎ、現在も研究内容を深めています」
校内には「探究支援サイト」という、先輩たちが取り組んできた探究についての成果や反省点などについて、後輩たちがアクセスできるデータベースが整備されています。
「生徒たちは先輩たちの過去の探究内容をすべて見られるので、その前提からスタートすることが可能です」(十九浦先生)
また宿泊研修でモデルロケットづくりに取り組んだ生徒が「宇宙甲子園」にも挑戦しています。2025年の東京地方大会では、ロケット部門では1位、缶サット(CanSat)という空き缶サイズの教育用・競技用小型人工衛星部門では3位と大健闘しています。これらのモデルロケットは、各学年の生徒たちが助け合いながらも競い合うように研究しています。
「降下中にさまざまなミッションを行うのですが、実際に飛ばしてみて、空中での状態を計測・分析します。それぞれのチームが自分たちのテーマに則って取り組むので、使用するセンサーも異なっています。しかし2025年に『宇宙甲子園』に挑戦した高2生は、人工衛星の向きをビジュアル的に画像化する仕組みを作った高3生から受け継ぎ、さらにブラッシュアップして臨みました」
もちろん、文系の生徒たちもさまざまな学びを通して、社会や世界とつながっています。
「総合探究で取り組んでいるのが、同校所在地の豊島区が行っている『すずらんスマイルプロジェクト』。これは、生きづらさを抱えた若い女性たちをサポートするプログラムで、セーフティネットとして誰でも立ち寄って気軽に話したり、使用したりできるものです。
最初に取り組んだ生徒たちは、豊島区が抱える若い女性に情報が届かないという課題を、若い女性が手に取りやすいカードをデザインして形にしました。翌年テーマを引き継いだ2年目の生徒たちは、先輩が考えたカードにQRコードを入れて、人目を気にしなくてよいトイレの個室に貼るというアイデアを提案。さらに引き継いだ3年目の生徒たちは、区内のトイレの個室に実際に貼っています」と竹鼻先生。
これら以外にも、さまざまなプロジェクトを通じて、姿勢や意欲、そして成果などが受け継がれながら、進化と深化を遂げていく豊島岡女子学園の学び。生徒たちは主体性を発揮しながら、勉強やクラブ活動や探究などの学校生活で、青春を謳歌しています。
なお、これら探究活動の発表会である「AcademicDay」を9月と2月の年2回実施しており、受験生も見学することができます。同校の受験を考えているご家庭は、生徒たちがどんな探究を行っているのか、そのレベルの高さをぜひご覧いただけたらと思います。
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