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学校特集

サレジアン国際学園世田谷中学高等学校2025

多様な探究が重なり合い、ワクワクが行き交う“知の交差点”
サレジアン国際学園世田谷の挑戦のいま、そしてこれから

掲載日:2025年9月3日(水)

カトリックの価値観を軸に、グローバルな視点と確かな探究力を育む――。サレジアン国際学園世田谷中学高等学校が新体制をスタートさせてから、今年で3年目。共学校化を契機に設けられた「本科クラス」と「インターナショナルクラス」は、互いに刺激を与え合いながら進化し続けています。
本年度は、両クラスのさらなる深化と、新たな教育プログラムである「MEDICO」の本格始動が注目されています。学校全体の雰囲気はどう変化し、どのような学びが展開されているのでしょうか。本科推進部部長・市橋朋之先生、インターナショナル推進部部長・上田かおり先生、教務部部長・田中赳裕先生にお話を伺いました。

【本科クラスのいま】
探究は"問い"から始まる──4年間の知的冒険を支える設計とは

 サレジアン国際学園世田谷中学高等学校の「本科クラス」は、探究活動を軸に、自ら問いを立て、思考を深めていく学びを中心に据えたコースです。

サレジアン世田谷_本科推進部部長の市橋朋之先生
本科推進部部長の市橋朋之先生

 本科クラスを推進する市橋朋之先生は、新設コースならではの試行錯誤があったものの、それ以上に「ゼロから創り上げる楽しさ」があったと振り返ります。

 その中でも、特に力を入れてきたのが中1から始まる「プレゼミ」の設計です。
「昨年の中1(2期生)からは、夏休みの宿題として"自分で探究テーマを立てて、外部のコンテストに応募する"という課題に取り組んでもらいました。探究とは何かを"体感"すること。そして、問いを自らブラッシュアップしていく習慣をつけることが目的です。外に向かうエネルギーが、学びの質そのものを変えていくということを感じます」(市橋先生)

 生徒は自由にテーマを設定し、ゼミ担当教員と対話を重ねながら、どんな問いを立て、どのように掘り下げていくのかを徹底的に追究していきます。テーマによっては専門家から直接フィードバックをもらうこともあり、実際にコンテストで入賞した生徒も。まさに「自ら問いを立て、社会とつながる」探究の第一歩です。

 また、思考力と発想力を鍛えるためのユニークな課題にも注目です。
「今年の中1には、"フォークの新しい使い方"を150個考えてくるよう、夏休みの課題を出しました。その中から一番面白いと思ったものを写真に撮って提出してもらいます。視点の転換、限界を超える発想力が試される課題ですね」と市橋先生。

 受験を通じて得た"正解"を導く力に長けた生徒たちが、「自由な発想」に戸惑いながらも、自らを解きほぐしていく。そんな場面が日々生まれています。

 本科クラスの探究活動の核となるのが「ゼミ」です。中2以降、生徒は自身の関心やテーマに沿ってゼミを選び、4年間かけて深く取り組んでいきます。

 例えば1期生の希望者は、中2時に「つくばScience Edge」(中高生のための科学のアイデアコンテスト)に参加しました。高校生がメインの場で、自分たちに足りないものを実感し、その経験が「いつか自分もあの舞台で発表したい」というモチベーションにつながったのだそうです。

サレジアン世田谷_ゼミで得たそれぞれの知見はさまざまな形で発表・共有します
ゼミで得たそれぞれの知見はさまざまな形で発表・共有します

 ゼミ活動は、教員の専門領域を超えて横断的に連携されています。人文社会科学を専門とする市橋先生も、ときにはPython(プログラミング言語)を用いたデータ分析を研究活動に取り入れるなど、分野を越えたアプローチを実践しています。必要に応じて教員同士で知見を持ち寄り、生徒一人ひとりの学びがより深まるようサポートしているのです。

「ゼミの時間外でも、生徒が教員に"こういうことをやってみたい"と積極的に相談にきます。教員同士も、互いに"何か一緒にできることある?"と、自然と情報交換しています。4年間の探究を通じて研究手法が進化していくので、我々も伴走していく必要があります」(市橋先生)

 今年度からは、卓上型のCTスキャナも導入されました。理科系にとどまらず、人文系でも活用の幅があり、ゼミ活動のさらなる深化が期待されています。

価値観と選択。本科の学びの根幹にある哲学とは

サレジアン世田谷_イキイキと学んでいるから、学校はより楽しい場となっています
イキイキと学んでいるから、学校はより楽しい場となっています

 こうした自由で挑戦的な学びの環境の中で、生徒たちの主体性が自然と引き出されているのが印象的です。

「学園祭に向けた"決起集会"も、生徒たちが主体的に運営しました。ホールでプレゼンする場に立ちたいと、自ら手を挙げて準備していく姿は頼もしいですね。人前での発表を楽しんでいるのが伝わってきます」と語る市橋先生。競争も"他者に勝つため"ではなく、"自分の研究をもっと良くしたい"という前向きな原動力になっているそうです。

「お互いの好きなことを認め合っている。見ていてこちらも楽しいんです。"自分がこの学校の生徒だったら、きっと面白かっただろうな"と本気で思いますよ」(市橋先生)

 探究の輪は学校内にとどまりません。家庭との連携も大きな力となっています。
「むしろ保護者の方のほうが積極的な場面もあります。『研究者の知り合いがいるので紹介しますよ』という申し出をいただくことや保護者会では"自分も関わってみたい"という声も。保護者とともに学びをつくっていく環境が育ってきています」と市橋先生。

 7月には、保護者や卒業生による「キャリアデー」も開催され、さまざまな仕事についてリアルな話を聞く機会が設けられました。ゼミ活動と連動させ、実社会との接続を強める取り組みも今後広がっていきそうです。

 市橋先生は、本科クラスの今後についてこう語ります。
「もっと"学問を楽しんでいる人"とのつながりを増やしていきたいですね。以前、東工大の先生に来ていただいて実験をしてもらったこともありますが、そうした"本物に触れる"体験は、生徒の価値観に大きな影響を与えます」

 本科クラスの根底には、「熱がなければ続かない」「自分で選ぶことに意味がある」という哲学があります。問いを立て、自ら選び、仲間と語り合い、社会とつながる。そのプロセスこそが探究の本質であり、生徒たちが未来を切り拓いていくための確かな力になるのでしょう。

【インターナショナルクラスのいま】
"限界のない学び"が広がる──圧倒的な英語環境と多様性の中で育つ、世界に開かれた学び

サレジアン世田谷_インターナショナル推進部部長の上田かおり先生
インターナショナル推進部部長の上田かおり先生

 同校の「インターナショナルクラス」は、英語力に加えて、論理的思考力や多様な価値観に触れる機会を豊かに提供するコースです。

 制度開始から3年目を迎えたいま、「年を追うごとに、生徒や保護者、受験生のご家庭からの期待が高まっているのを感じます」と話す上田かおり先生。実際に、インターナショナルクラスを選ぶ生徒の多くが「英語で学びたい」という明確な意志を持って入学してきているといいます。

 なかでも近年、アドバンストレベル(※英語だけでなく、数学、理科、社会の授業もオールイングリッシュで受けるコース)を希望する生徒の増加が顕著です。今年度の中1では、スタンダード26名に対し、アドバンストは55名と、倍以上の生徒がアドバンストを選択。説明会でもアドバンスト希望の家庭が多数を占め、「こちらが驚くほどの勢い」だといいます。

 一方、ゼロベースで英語を学び始める生徒も一定数在籍しており、そうした生徒が中3の段階でアドバンストに上がるケースも珍しくありません。

「"英語を使いこなしたい"という気持ちが強い生徒は、1年生のうちからどんどん吸収していきます。帰国子女や外国籍のクラスメイトから、イントネーションや言い回し、さらにはスラングまで自然と学んでいます。3年間あれば、やる気次第でネイティブレベルに達する可能性も十分にあります」(上田先生)

 また、高校入学後は、海外の高校卒業資格を得られる「デュアル・ディプロマ・プログラム(DDP)」がスタート。すでに1期生のうち30〜40名が、DDPに進む見込みです。

英語の"シャワー"を浴び続ける、贅沢な学習環境

サレジアン世田谷_多感な時期を多様な価値観の中で過ごします
多感な時期を多様な価値観の中で過ごします

 インターナショナルクラス最大の特長は、日常のすべてが「英語漬け」であること。中1のホームルームやロングホームルームはもちろん、週2時間行われる探究プログラム『サレジアン・アカデミック・プログラム(SAP)』も、すべて英語で実施されます。

 加えて、入学後にはバディシステム(※スタンダード生とアドバンスト生がバディを組み、互いの学校生活をサポートするシステム)を導入。多くの生徒がアドバンストのクラスメイトに囲まれながら学校生活を送るなかで、自然と英語に慣れていきます。「最近は外国籍や帰国子女の生徒が増えていることもあり、スタンダード生がアドバンスト生を日本語(国語)面でサポートする場面も見られます」と上田先生。

 アドバンスト生の人数が多い環境下では、スタンダード生も英語を吸収するスピードが非常に速く、柔軟にキャッチできる力が育ちます。

「スタンダードの生徒も、中1の1学期のうちに英語によるプレゼンテーションの際の話し方をはじめ、プレゼンスタイルに変化が現れます。これは本校ならではの強みです」(上田先生)

 教員陣も国際色豊かで、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、ジャマイカ、イギリス、ネパール、フィリピンなど、多国籍のインターナショナルティーチャーが専門性を生かした授業を展開しています。

 生徒の主体性を育む機会も数多く用意されています。たとえば、世田谷区・町田市の私立中高生が参加するスピーチコンテストに向けて、夏前には校内選考会を実施。今では「出たい」と手を挙げる生徒が後を絶たず、年々競争が激しくなっているそうです。

サレジアン世田谷_SAPの発表会。世界に発信できる力を培います
SAPの発表会。世界に発信できる力を培います

 さらに、10月の学園祭では英語でのポスターセッションが行われ、生徒たちは自らの研究成果を英語で発信します。これらは単なる「楽しい行事」ではなく、「自分を表現する」ことの意義を体感するアカデミックな場でもあります。

「失敗しても、ちょっと変なことを言っても、笑われたりしない。互いに認め合う文化があるんです。安心して挑戦できる空気があるんですよ」と上田先生は語ります。

 インターナショナルクラスに集う生徒たちは、異なるバックグラウンドを持つ仲間とともに学び合い、多様な価値観の中で自らの軸を見つけていきます。そして、「自分はどう学びたいか」「どんな未来を描きたいか」を主体的に考え、行動に移す力を身につけています。

 限界のない学び、自由に表現できる環境、多様性の中で育まれる柔軟な感性――。ここで育つ力こそが、まさに"世界に開かれた未来"を生き抜く力なのかもしれません。

【MEDICOのいま】
「思考する力」を武器に、社会とつながる──科目融合・探究型学びの最前線

サレジアン世田谷_教務部部長の田中赳裕先生
教務部部長の田中赳裕先生

 2026年度に始動する「MEDICO」は、本科クラスの中から生まれた、新たな学びの広がりのかたちです。理数系に強い関心を持ち、社会課題や人間の営みに迫ろうとする中高生たちに向けた、"知的好奇心の受け皿"ともいえるこのクラス。MEDICOを推進する田中赳裕先生は、「本科の中で、より深く掘り下げた学びを求める生徒に向けて、文理融合型のプロジェクト学習の場を設けたのがMEDICOです」と話します。

 人の行動にともなって生まれる"データ"や、"生命"という根源的なテーマに科学的に迫ることで、これまでにない深度と視野を持った学びが実現されています。
「医療やテクノロジーといった理系の視点から"人間とは何か"を考えていく。それがMEDICOの目指す探究です」(田中先生)

 本科クラスとの大きな違いのひとつが、教科横断的なカリキュラム設計です。例えば理科では、生物の特徴を化学的に分析したり、身体の構造を物理の力学から読み解いたりと、複数分野をつなげた学びが展開されています。数学も単なる演習にとどまらず、現実の問題をどのように数式に落とし込むかという「応用数学」にフォーカスし、社会との接点を意識した学びへと昇華させています。

「社会の中で、知識がどのように使われているかに触れることで、本当の理解が育まれます。だからこそ、科目を横断して学ぶことが重要なんです」と田中先生は強調します。

 2025年度の第1回入試を経て、現在MEDICOには20名弱の生徒が在籍。2026年度、中2から本格的な授業がスタートします。

 入試では、例えばゲーム画面を模した課題で「オブジェクトを消すにはどのような命令が必要か」、また建築材と医療用繊維の共通点から科学的な視点を導く課題など、柔軟な発想力と論理的思考力や表現力を問う出題が予定されています。

「科学技術は、日常生活のすぐそばにあります。それを自覚し、つながりをイメージできるかどうかで、学びの深さはまったく違ってくるんです」(田中先生)

 そして、こう続けます。
「算数や理科は得意でも、国語には苦手意識があるかもしれないと予想していましたが、実際には読解力や表現力に長けた生徒が多く集まりました。1学期のプレゼミでは、MEDICOの生徒たちが積極的に発言していて、思考を言語化する力がしっかり備わっていることを実感しました」

「問い」からはじまる未来──知的好奇心が育つ場所

サレジアン世田谷_論理性とあたたかな人間性を兼ね備えた人物を育てます
論理性とあたたかな人間性を兼ね備えた人物を育てます

 在籍生の興味関心は多彩で、医学・理工学・データサイエンスはもちろん、数理経済学など新しい視点への探究も盛んです。

「"世の中のお金の動きを数式で表したい"という生徒もいれば、大学の研究室顔負けの問いを立てる生徒もいます。我々も学びになることが多いですね」と話す田中先生。

 Pythonを活用して自らプログラミングに取り組む生徒もおり、ロジカルシンキングに加えて、デザイン思考も磨かれているといいます。今後は、大学の研究機関や先進企業との連携も視野に入れ、より実践的な学びを展開していく予定です。

 理数を軸に、社会や人間の営みに迫る探究的な学び。MEDICOのプログラムは、自ら問いを立て、学びを自分の手で形にしていく力を育む「知的好奇心の土壌」と呼ぶにふさわしいかもしれません。

世田谷の中心にありながら、自然に囲まれた学びの場

サレジアン世田谷_明るい雰囲気のカフェテリアはくつろげる空間です
明るい雰囲気のカフェテリアはくつろげる空間です

 サレジアン国際学園世田谷中学高等学校では、このように多様な軸から生徒一人ひとりの興味・関心を引き出し、学びにつなげる教育が実践されています。そこには、学園の理念や育成方針がしっかりと息づいており、先生方ご自身が「もし自分が中高生だったら、この学園で学びたかった」と語るほどの熱意と愛着がにじみます。

 世田谷区の中心にありながら、緑に囲まれた広々としたキャンパスで、のびのびと探究を深められる環境も同校の大きな魅力です。ぜひ一度、足を運んでその空気を感じてみてください。

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