学校特集
文京学院大学女子中学校 高等学校2026
掲載日:2026年3月4日(水)
JR山手線・東京メトロ南北線の駒込、JR山手線・都営三田線の巣鴨の両駅から徒歩5分という利便性に富み、名勝六義園に隣接、閑静な住宅地に位置する文京学院大学女子中学校高等学校。「女性の自立」を掲げ、1924(大正12)年に開学した歴史ある学校です。伝統教育・グローバル教育・探究的な学びを中心に据え、国際社会で活躍できる豊かな人間力を育みます。なかでも日常に根ざしたグローバル教育と先進的に取り入れてきた探究学習には、同校の学びの本質が詰まっています。中学校校長の島田美紀先生と中学校副校長の石井淳先生に、文京学院大学女子中高の教育や生徒たちの成長について伺いました。
日常の中で世界とつながる!
グローバル教育が「共感力」を育む
文京学院大学女子中学校の副教頭・副校長を経て、2025年4月より中学校校長を務める島田美紀先生。約25年前から英語科教員としてグローバル教育を担当し、国際プログラムの導入・運営に携わってこられたほか、過去には文京学院大の国際部でも活躍するなど、豊富な経験をお持ちです。その深い知見と実績から、グローバル教育への考え方を次のように話します。
「グローバル感覚を養う上で大事なのは、『当たり前の違いを理解し、受け入れていくこと』だと考えています。文化や習慣、価値観など、日本での当たり前は他国において必ずしも同じではない――。この事実をいかに知り、受け入れるかが問われます。グローバル教育と聞くと、海外研修や語学留学を思い浮かべることも多いと思います。実際、本校にも、グローバル教育の一環として、海外語学研修や留学、海外大学進学に向けたプログラムがあります。
しかし、『グローバルな感覚』は、海外に渡航すればして身に付くものではありません。学校生活の中で、『他者の価値観』を受け入れられる素地を育み、共感力を身につけていくことだと思っています。本校は、日頃の教育活動を通して、『他者への共感力』が育っていく環境が整っています。大切なのは、『多様な価値観への共感力』を日常生活のなかで身につけ、育んでいくこと。本校では教育活動とそれ以外の学校生活の両面で、それを体現できていると思います」
島田先生の言葉通り、同校には日本にいながらグローバル感覚を養える充実した学びと環境が整っています。主な取り組みと活動から感じる手応え、生徒の成長について島田先生がお話しくださいました。
2020年度よりIB(国際バカロレア)の認定を受けたアオバジャパン・インターナショナルスクール(以下、AJIS)と教育提携を結び、連携した学びをスタート。AJISは同じ敷地内にあるため、日常的に交流が行われています。
「AJISは共学のため、男子生徒もいますし、海外にルーツを持つ生徒さんや海外経験の長い生徒さんもたくさんいます。また、英語を日常的に使っています。そのため、一緒に活動することで、本校の生徒にとっても英語に触れる機会が多くなります」と島田先生。
さまざまな交流を行っていますが、なかでも、藍佐師守谷怜太氏にご協力いただき行っている「藍indigo Project」は、2026年度で5回目を迎えます。両校の生徒は、数ある社会問題の中からテーマを設定し、社会が抱える問題や課題の現状を探り、解決の方法を考えます。これらの学びを、藍を使ったアートで社会に啓発することで、市民全体で共有するのも、このProjectの特徴です。昨年度は、盲導犬の普及をテーマに、グッズの製作を手がけました。
「協働を重ねるなかで、AJISの生徒たちが本校の生徒たちを『すごくいいね』『素晴らしいね』と肯定してくれる場面が多く、『この考え方で合っているだろうか』『意見を言うのが恥ずかしい』と感じていた生徒たちがどんどん自信をつけていく姿が見られます」(島田先生)
30年以上前から英語教育にも尽力してきた歴史があり、海外の学校とのネットワークを広く持っています。アジア、オセアニア、南北アメリカ、ヨーロッパなどの多様な国々から留学生を積極的に受け入れています。
「本校にとって、多様な国々の留学生と過ごすことは、特別なことではなく、学校生活の中の一場面でしかありません。そのため、生徒たちも留学生や帰国生に対して、特別扱いや必要以上の気遣い、遠慮をしません。
例えば、日本の学校に通うのは初めてというインド人の生徒に、『副委員をやってみたら?と勧めて、勧められた生徒も、「やる!」と即答したそうで、それにも驚きましたが(笑)。そんなエピソードもあるほど、ごく自然に受け入れていますね。その他にも、アメリカやオーストラリアのサッカーやバレーボールのクラブチームと交流試合をすることもあります。部活動の交流だけでなく、他の生徒とも一緒に給食を食べたり、授業に交じってもらったりと、より多くの生徒たちが交流できるようにしています」(島田先生)
英語の授業以外に、他教科でも英語を活用することで総合的に英語4技能を伸ばしています。例えば中高で、ネイティブスピーカー教員と日本人教員によって実施される「コラボ授業」は、2025年度では理科、社会、音楽、美術という多教科で展開されています。
「コラボ授業の良さは、同じ事柄でも国や地域によって捉え方が異なることを実感できる点にあります。その気づきがグローバルな視点を育て、多様性の受容につながっていくのです。コラボ授業でネイティブ教員が使う英語はごくシンプルなものですが、日常のなかで多出するようなフレーズが多く、生徒たちは『こういうときにはこう言えばいいのか』という、ちょっとした発見もできているようです」と島田先生は教えてくれました。
約15年前から独自に行っているゼミ形式の課外授業が「国際塾」です。英語運用能力の維持と伸長を目的とし、生徒は個々の目的や実力に合せて、受講講座を選びます。英検取得のための講座もありますが、「英語力をさらに高めたい」、「英語で話す機会を増やしたい」という生徒の意欲に応えます。
「中・高それぞれ約6割の生徒が参加しています。部活動と両立させながら自分のペースで参加できるので、無理なく英語に触れる機会を増やせます。『Communication Skills』や『Essay and Writing』など、実用的な講座も多く、長期休暇中には韓国語講座など、英語意外にも触れる機会があります。学年に関係なく講座を選ぶため、留学した先輩と知り合うことで、自分も留学を目指す生徒もいました」(島田先生)
上記であげたほかにも、ホームルームや給食の時間、修学旅行などでネイティブ教員と過ごす時間が多いことも特徴です。島田先生はそうした日常の時間がもたらす良さを次のように話します。
「ネイティブ教員たちも親しみやすい雰囲気で生徒たちに接し、学校行事も楽しみながら参加してくれていますね。すると生徒たちも、『間違えてもいいから、何か言葉を返そう』と、必要以上に構えなくなり、英語でコミュニケーションを取ることに緊張しなくなるようです。この日常のちょっとした積み重ねの価値はとても大きいと考えています」
日常の学校生活に英語と触れる機会が散りばめられています。6年間を過ごすなかで多様な価値観への共感力を着実に磨いていくことができるでしょう。
「中3から高2までを対象としたオーストラリア語学研修(希望生)では、ホームステイをしながら、現地の学校に通います。本校では、現地の学校との交流を大切にし、高2を対象とするマレーシア修学旅行(国内との選択制)でも現地の生徒とふれ合う機会を設けています」と島田先生。
このような環境で生活する中で、留学したい、海外大学に進学したいという生徒も年々増えているため、対応できるようにプログラムも整えました。
「好き」から始まる探究が
進路と未来を探るきっかけに
現在、どの学校でも実施されている探究活動ですが、文京学院大学女子中高では、他校よりも10年ほど前から先んじて行われています。
中学校副校長の石井淳先生(以下、石井先生)は、探究活動について次のように説明します。
「本校では、2012年より6年間、文部科学省よりSSH(スーパーサイエンスハイスクール)、及びコアSSH(理数教育振興の地域中核拠点)の指定を受け、探究活動に取り組んできました。探究活動は教科横断型学習のため、グローバル教育、リベラルアーツなどまでを含めて包括的に学べる点も魅力です。本校の場合は、中学から段階的に探究スキルを磨いていき、高校からは全員が個々の研究活動に取り組むような流れで展開しています。
中1では主に言語を学び、中2では主に情報を整理し、グラフにするなどの力を育み、中3からは個人研究に挑戦します。高校ではコンテストへの応募、企業とコラボした商品開発などにも取り組みます。探究テーマは、生徒が自分自身で決めています」
こうした探究活動を通じて、生徒たちは自分の好き・得意を見つけることができ、それが高校の進学コース、大学での学び、ひいては将来進む方向を探るきっかけになると、石井先生は話します。
「本校の場合、高1から理系コース(理数キャリア)と文系コース(国際教養)に分かれます。探究学習は生徒が"自分はどちらの方向に進むべきか"を見つける足掛かりにもなっています」
2012年よりタイの「Princess Chulabhorn Science high school Phetchaburi」との科学交流を実施しています。理数キャリアコースに在籍する高校2年生を中心に行われ、研究成果は英文で作成し、英語で発表・質疑応答まで行います。そしてその研究内容をブラッシュアップして、さまざまな大会やコンクールにも積極的に取り組んでいます。2023年5月には、アメリカで開催された世界最大級の高校生向け科学コンテストである「Regeneron ISEF2023(国際学生科学技術フェア)」に2名の生徒が出場。67の国と地域から集まった約1600名の高校生と競い合い、「材料科学部門」で優秀賞4等を受賞しました。
「この生徒たちは、高2の探究活動として江戸時代の口紅『小町紅』に取り組み、知られていなかった発色の仕組みを解明し、その活動と成果が高く評価されました。ひとりの生徒は"真面目でコツコツ型"、もうひとりは"アイデア閃き型"で、対照的なタイプでしたが、そのふたりが出会い、互いの足りないところを補うことで精度の高い探究につながったように思います。英語での発表についても、相当苦労しながら練習していましたね。彼女たちの頑張りや成果は、在校生たちにも非常に良い刺激を与えてくれました」(石井先生)
のびのびと自分を表現し、
失敗と修正を重ね、大きく育つ6年間
島田先生は昨年度、校長に就任した際、生徒たちに3つのお願いをしたそうです。
「挨拶をしよう・目標を持とう・異文化体験をしようの3つです。挨拶は、魔法の言葉。『おはようございます』と言われるだけでうれしくなりますよね。だから、常に挨拶が飛び交う学校でありたいと思っています。それから生徒たちには、目標を持って小さなことから大きなことまでチャレンジしてほしい。6年間で、たくさんの失敗と修正を重ねて成功体験を積み上げてほしいと思っています。最後の異文化体験というのは、いわゆるグローバル体験だけでなく、もっと広義の意味での異文化体験です。自分と、自分以外の人と、考え方や感じ方が異なるのは自然なことです。行き違いがあっても、お互いが認め合い、許し合い、理解し合うことは、これからの社会で最も必要とされることではないでしょうか」
続けて、島田先生は校風・生徒の雰囲気についてこのように話します。
「本校はもともと海外との交流が活発なこともあり、"違い"を受け止める土壌が整いつつあるのでしょう。いろいろな性格の生徒がいますが、それぞれの個性を認め合えている印象です。
また、自分を素直に表現できている生徒が多いのは、異性の目を気にする必要のない女子校ならではの長所です。給食の時間に教室を訪れると、本当にどの子もよく食べ、おかわりする生徒も多い(笑)。遠慮せずにたくさん食べる生徒の姿を見るのはうれしいことです。また、体育祭や文化祭などの行事も多くの生徒がリーダーシップを発揮しながら積極的に取り組んでいます」
女子校の魅力をしっかりと味わえる同校ですが、年に数回は近隣の私立男子校の生徒との交流もあるそうです。男子生徒との協働の学びの機会からも、生徒たちの多様な価値観は磨かれているのでしょう。
創立102年という歴史と伝統がありながら、時代の先端をいく価値観が浸透する文京学院大学女子中学校高等学校。自分自身の個性を大切に育みながら、グローバル社会で役立つ感性やスキルを培いたいと考える女の子にとってぴったりの学校です。
