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学校特集

江戸川女子中学校・高等学校2025

信頼関係の中で、自信と責任を兼ね備える自立した女性を育む

掲載日:2025年11月29日(土)

受験者数を年々、着実に増加し続けている江戸川女子中学校・高等学校。その理由は、先生方や生徒たちと触れる機会を豊富に設け、実物大の学校生活の様子を届けることでファンになる受験生親子が増えているから。生徒たちはどんな学校生活を送り、先生方はどう接しているのか、そして受験生たちにとってどんなタッチポイントがあるのかなどを、中学入試対策委員長の吉田秀徳先生に伺いました。

「自立できる人」を頂として、
登り方を日々の中で模索する

「教養ある堅実な女性の育成」を建学の精神とし、最終目標を「自立できる人」としている江戸川女子。こうした女性を育てるべく何かを特別に行っているのではなく、日々の学校生活や数ある学校行事の端々にその姿勢が宿っています。

江戸川女子_中学入試対策委員長の吉田秀徳先生
中学入試対策委員長の吉田秀徳先生

 例えば毎年11月上旬に行われ、全校生徒が携わる江戸川女子最大の催しである文化祭「かたばみ祭」について、中学入試対策委員長の吉田秀徳先生はこう話します。

「本校の文化祭は非常に生徒たちが忙しいんです。クラス展示や発表のほか、部活の発表もあり、両方欲張りに頑張ります。
 そのため時間のカスタマイズが難しいため、さまざまな判断を迫られます。時間の管理や優先順位の付け方などの術を自然と身に付けざるを得ず、ある意味リアルな社会経験につながるのではと思っています」

 2025年度の「かたばみ祭」は、11月8日(土)・9日(日)に開催されました。
 本番当日に向けた準備が始まるのは9月中旬頃から。生徒会が主導し、文化祭全体の運営を担う「全体委員会」と各クラスの催しを取り仕切る「クラス実行委員」が結成されます。

江戸川女子_文化祭では、中学生は展示がメインですが、さまざまな工夫を凝らされています(写真は中3のもの)
文化祭では、中学生は展示がメインですが、さまざまな工夫を凝らされています(写真は中3のもの)

 同校で重視されているのは「主体的に動く」ことです。
「クラスの友達や部活の仲間とコミュニケーションを取らなくては成立しません。また判断力も必要になります。それぞれが自分自身で考えながら、責任を持って行動していくので、時には意見のぶつかり合いもありますよね。しかしそうした経験を経なければ、いいものは出来上がらないということもわかります。
 大変だったという中でも、達成感の後には、来年もまた頑張ろうという思いにつながっていくのだろうと感じています」(以下、吉田先生)

江戸川女子_運動部の生徒たちも文化祭で活躍の場を切り開きます。写真はバレー部と陸上部が協働した「運動部キッチン」
運動部の生徒たちも文化祭で活躍の場を切り開きます。写真はバレー部と陸上部が協働した「運動部キッチン」

 なお、今年の全体テーマは「Step Beyond」。日本語にするなら「一歩先へ進む」という意味合いです。まさに同校の生徒たちの心持ちが表現されているようだと感じました。

「最終目標の『自立できる人』を頂上としたら、登り方はいろいろあっていいですし、その登り方も最初は教えますが、途中からはどう登ろうかと自分で考えて、いろいろと試してみてほしいですね」

 生徒たちは仲間と協力したりぶつかり合ったり、試行錯誤を繰り返しながら成長しています。

責任感を伴う主体性や判断力は、
行事を通じて涵養する

 主体性や判断力は、中学生では年2回ほど行われる校外学習でも培われています。
「基本的に、現地集合・現地解散ですべて班別行動による自主研修で行います。中1は上野・柴又やお台場、中2は横浜・鎌倉など、だんだん遠方へ広げていきます。どういう仲間と班を組んで、どんな準備を経て動くのか、最初は教員がサポートしながらですが、生徒たちに考えてもらいます」

江戸川女子_中3の10月に行われる修学旅行でも、社会性が養われます
中3の10月に行われる修学旅行でも、社会性が養われます

 その集大成として行われるのが、中3での関西修学旅行(京都・奈良)です。
「3泊4日で20時間ほどの自主研修を行いますが、自分たちで計画の立案をします。事前準備がとても重要ですが、トラブルは起きるものだと思って備えることが大切と伝えています。でも、実際に何が起こるかわからない中で、いざ発生した時にどう対応するか、どのタイミングで誰に連絡したらいいのかといった、生徒たちの判断が入ってくるわけです」

 吉田先生が学年主任を務める、現高1年が中3の時の修学旅行ではこんなことがありました。
 修学旅行用の1日乗り放題の市営バスのチケットがあるので、バスを利用した予定を立てていました。しかし京都は特にオーバーツーリズムが問題になっている場所です。

「ある班はバスが満員で2台やり過ごしても乗れない。その時点で『もしかしたら集合時間に遅れてしまうかも』という連絡がありました。
 やっと乗れたと思ったら、焦っていることもあり、逆回りのバスに乗ってしまったそうで『運転手さんには時間はかかるけれど乗っていれば着くからと言われた』と、泣きながら連絡が入りました。結局1時間遅刻してきましたが、こちらが聞くよりも先に、生徒たちは状況を説明するわけです。
 我々は明日もあるから頑張ろうと話すと、今日の反省を踏まえて明日の予定を組み直しますと、だんだん気持ちを立て直していきました。

 大人であっても、すべてのことが予定通りに運ぶ、ということはあり得ません。だからこそどう立て直すのかという姿勢や判断力が大事です」

 生徒たちはさまざまなトラブルシューティングを考え、目の前の課題解決に臨みました。

江戸川女子_生徒と先生の距離感の近さも自慢です
生徒と先生の距離感の近さも自慢です

 こうした時に大切になってくるのが、どんな班を作るのかということです。
 この学年では、全員を体育館に集めてクラスの枠を取り払い、班作りをしました。
「班作りは生徒同士の関係性があってこそ。中3だからできると思ったのです。
 生徒たちには、さまざまな見学地があるけれど、目的が同じ同士のグループになったほうがいいよと伝えていました。仲がいいという理由だけで自由にグループを組むと、かえってトラブルが起こる可能性もある、自由の中には責任があるよと話していました」

 生徒たちに人間関係について、ことあるごとに伝えているという吉田先生。
「仲がいい子同士でグループを組むとほとんどの場合、いざこざが起きるのです。仲が良いからこそ、気を遣い合ってしまい、かえって言い出せなかったり、役割分担がうまく進まなかったりと要因はさまざまです」

 こうした経験を踏まえ、現高1が中3の時のグループ決めの時のことを教えてくれました。
「3人から5人で組むように指示したところ、50を超える班ができました。実際には、5人と3人で8人とか、5人が2組で10人になっているようなグループもありましたが、それは生徒たちが身につけた処世術の一つだと考えています。それくらい物事を柔軟に捉えられることは大事です。本校は真面目な生徒が多いので、"適当"であることの大切さは伝えていきたいですね」と笑います。

 なお、修学旅行前の保護者会では、こんな説明をしたのだとか。
「我々大人が先回りをして、何もトラブルが無い状態にはできます。しかし、それは学びにはつながりませんし、本当は危険を伴う場合であっても安全だという無意識の刷り込みになってしまうこと自体が問題ではないかと思います。生徒たちにとって、保護者のみなさんも我々も伴走者であり、見守っていましょうと伝えています」

江戸川女子_「特別活動」として、さまざまな教養に触れる機会がある江戸川女子。数ある経験の中から生徒は自分自身の可能性を探ります
「特別活動」として、さまざまな教養に触れる機会がある江戸川女子。数ある経験の中から生徒は自分自身の可能性を探ります

 自身も長らく陸上競技をやっていた経験を持ち、陸上部の顧問でもあった吉田先生。
「伴走者とは何かというと、後ろから押したり、腕を引っ張ることではありません。いいペースだよとか、きつそうだったらここが我慢しどころだよという声かけで、生徒たちも安心できます。走っているのは自分だという自覚の中で、私たちが伴走しているからねと安心感を持ってもらうというスタンスは大事だと思います」

 さらに続けます。
「失敗することもあるという認識をすること。そして、失敗した後にどうやって立ち上がるか。それが最も大切だと思います。人に言われたからと誰かのせいにしたり、中にはうまくいかなかった経験を無かったことにしてしまう子もいます。誰だって転んだら恥ずかしいですよね。でもその時に無かったことにはしてほしくないのです。うまくいかなかった時にこそ、逃げずにきちんと対峙できたのだ、自分で立ち上がれたという実感が自信につながっていきます」

 子どもたちの自己効力感や自己肯定感について語られることが多くなっている昨今。子ども一人に向かう大人の注目度合いや大切にされているからこその、その裏側に潜む弊害を吉田先生はこう指摘します。
「今の世の中や保護者、我々もそうですが、子どもを常に見守りがちです。しかし、それは子どもにとってはすごくきついことです。子どもは親の前で失敗することが怖いんです。失敗したと傷ついてやる気を無くしてしまったり、トラウマになってしまったりということもあります。私は保護者に、見て見ぬふりも大事と伝えています。子どもが転んでしまったとき、もちろん心配ではありますが、目の前に据えて注目するのではなく、目の届く範囲で見守る姿勢が必要だと考えています。

 子ども自身が試行錯誤をしてそれでもうまくいかずに、アドバイスを求めてきた時に初めて、我々は手を差し伸べればいいのかなと思うのですね」

 さらに「今どきの子どもたちは、失敗=悪と捉えている子が多いように感じます」と吉田先生。

「そもそも競技スポーツをやっていた私にとっては、そうしたら1位以外は全部失敗なの? それはいくらなんでも大変じゃない?と思うんです。スポーツでも勉強でも、自分で取り組んでいくうちに、人よりも秀でている部分が見えれば、それが自信になって、もっとやってみたいとなると思っています」

江戸川女子_協働したり探究したり、多様な学びの中で生徒たち自分と向き合います
協働したり探究したり、多様な学びの中で生徒たち自分と向き合います

 いい時にもしんどい時にも、伴走してくれるのが江戸川女子の先生方です。
 なお、吉田先生は「いいことも不安なことも、自分自身の気持ちを言語化して生徒たちに伝えることを大切にしています」と教えてくれました。だからこそ、生徒たちと厚い信頼関係を築くことができているのでしょう。同時に「耳が痛いことを言ってくれる人の大切さ」も生徒たちに話しているそう。耳障りのいい言葉が並ぶ現代ですが、切磋琢磨できる環境は、人を大きく成長させてくれる場所といえるでしょう。

先生方も挑戦を続け、受験生数も増加を辿る

 上記の通り、受験生数が大幅に増加し続けている江戸川女子。
 吉田先生は、男女別学の魅力に再注目が集まっている現状について分析しつつも、赤裸々にこう話してくれました。
「4、5年ほど前でしょうか。総受験者数がとても減り580人ほどになってしまった時がありました。その理由を探ると、我々が思っていた以上に、本校の認知が進んでいなかったのです」

江戸川女子_学校説明会での、先生方が生徒との実際のやりとりを交えながらの語りは人気のコンテンツです
学校説明会での、先生方が生徒との実際のやりとりを交えながらの語りは人気のコンテンツです

 そこで同校ではSNSでの発信に力を入れ、学校説明会のあり方も見直しました。教員や生徒、保護者の方、卒業生などが話す機会をさらに増やし、生徒による校内ツアーなども新たに設けました。

「生徒たちが自ら進んで参加してくれるのがとてもありがたいですね。校内ツアーでは、終了後でも30分ほども話し込んでいるグループがよく見られます」

 また、3年前から参加しているのが、隣接する千葉の女子校・国府台女子学院と和洋国府台女子を1日で3校を巡るバスツアーです。
「本校は東京の最も東側に位置する江戸川区にあり、JR総武線の小岩駅が最寄駅のため、中高合わせると約7割の生徒が千葉県在住です。
 参加された保護者からは『学習に対して、かなりしっかりやらせるイメージが強かった』と伺いました。本校は確かに授業を大切にしていますが、『実際に来てみたら生徒と先生の距離の近さに驚きました』というお声をたくさんいただきました」
 まさに百聞は一見にしかずといえるでしょう。このバスツアーは毎年5月の平日に少人数で実施されており、5月初旬に予約を開始していますが、例年受付開始5分ほどで予約枠が埋まってしまう人気ぶりです。

 さらに2025年2月からは、江東区・清澄白河に位置する中村中学校も加えた4校でのパネルディスカッションが始まりました。
「女子校とひと口に言っても、原流はもちろん違いますし、似ているようで似ていない部分もあり、一堂に会すると比較していただきやすいですよね。
 受験生の方々にはそれぞれを見て、感じて、後悔のない学校選びをしていただきたいのです」

 これらの活動が実を結び、2025年度は受験生が818名まで増えました。
「バスツアー参加者が、その後の学校説明会やオープンキャンパス、さらに学校外での相談会のブースにもおいでになるなど、複数回来てくださる方が増えました。さまざまな変化を経た後の反応が、志願者数に現れたことはとてもありがたいことです。そして、我々の自己肯定感もちょっと上がったかなという気はしています」と笑います。

 なお各イベントについては、同校のホームページをご確認ください。

2026年度入試での変更点について

 このようにさまざまなタッチポイントを持つ江戸川女子。入試の形態も多様です。詳細は学校HPでご確認いただけたらと思いますが、2026年度入試は以下のように実施されます。

・一般4科入試(2月1日・2日・3日、いずれも午前)
・一般基礎学力型入試(2月1日午後・2日午後・6日午前)
・適性検査型入試(2月1日午後)
・一般英語特化型入試(2月2日・6日、いずれも午前)

江戸川女子_中学に国際コースを置く同校。英語教育にも定評があります
中学に国際コースを置く同校。英語教育にも定評があります

 実は、2月6日に実施される第3回一般基礎学力型入試は、昨年までは「追試験」として行われていたものです。
「インフルエンザといった学校感染症などで、出願したけれども他の入試を受けられなかった場合の振り替えや新規に併願していただくものとして設定していましたが、今回、より広く受験していただけるようこの形にしました」

 また、都立両国型を謳っている適性検査型入試ですが、2026年度入試では、適性検査Ⅰ、Ⅱ、Ⅲの3科目での判定に加え、Ⅰ、Ⅱの2科目での判定も取り入れます。いずれも、55パーセントの得点率で合格と明記しています。

 帰国生入試もあり、多彩な入試形態が実施されている江戸川女子。さまざまな個性を持つ生徒たちが集い、互いに高め合いながら、伸びやかに過ごしています。ぜひ一度学校を訪れ、この校風に触れてみることをお勧めします。

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