受験生マイページ ログイン
受験情報ブログ

わが子の得意や長所をいかした中学受験スタイル Vol.2

いまならできる、いまなら選べる!

my TYPE第15号(2025年11月24日発行)掲載


記事/首都圏模試センター 取締役教育研究所長・北 一成

公立中高一貫校の受検や、私立・国立中学校の受験にチャレンジする小学生と保護者の志望校選択の志向と、そのための受験準備のスタイルは、いまでは非常に多様化しています。そうした傾向を反映しているのが、ここ10年ほどの間に顕著になった「中学入試の多様化」です。「難関校に受かるには、小学校低学年から著名な進学塾通いをはじめないと無理なの?」とか「中学受験(受検)は、小6から準備を始めたのでは間に合わないのでしょう?」といった保護者の声や疑問を耳にすることがありますが、実際のところ、すでに時代は大きく変化しているのです。今回の特集では、中学入試の形態が多様化し、「誰にとってもチャレンジしやすい」状態に変わってきたことの背景や、そうした入試にチャレンジすることの意義をお伝えしていきます。

今回の記事は、Webにて3部構成でご紹介しています。

わが子の得意や長所をいかした中学受験スタイル Vol.1はコチラ

わが子の得意や長所をいかした中学受験スタイル Vol.3はコチラ

私立中の英語入試は、なぜこれほど広がった!?

近年、新聞や教育情報誌などで紹介されることも多くなった中学入試における私立中の「英語入試」は、すでに首都圏では140校~150校が導入しています。なぜこれほど、中学受験の世界にも「英語入試」が増加したのでしょうか?

もともと英語は大事と考えていた多くの保護者。 さらに大学入試での英語の重要性が注目された!

次に、私立中の「英語(選択)入試」が、これほど増加した背景についてお伝えしていきます。もともと「将来のためにも英語は大切」と考えている保護者は多く、小学校3年の2月や、4年の2月から進学塾に通い始める前の、子どもたちの幼少時の習い事で多いトップ3は、昔から「スイミング・公文・英会話」といわれてきました。これは現在でもさほど変わっていないと思われます。企業のグローバル化、ボーダーレス化などの影響で「英語は大事」と考える保護者は依然として数多くいます。若い世代の保護者になるほど多くなるのではないでしょうか。そうしたこともあって、以前からわが子の幼少時の習い事のひとつに英語を選ぶ家庭が多かったのが現実でしょう。そのうえに、これからの英語の重要性を多くの保護者に意識させるようになったきっかけが、やはり2021年からの「大学入試(高大接続)改革」でした。そこでは、「英語4技能」の力が必須になると喧伝され、各大学の英語入試では、英語の民間検定の取得級やスコアが、合否の判定材料にされるということも注目されました。その後、英語の民間検定のスコアは、いまだ「大学入学共通テスト」には反映されていないものの、多くの私立大学と一部の国立大学の学部で、これを英語入試の判定に用いるケースが年々増えてきたことは、多くの人々にも知られているのではないでしょうか。

文部科学省が公表した 「CEFR対照表」が、私立中高の英語教育への期待を後押し!

そうした、現実の世の中と大学入試で、これまで以上に「英語(4技能)の力」が大切になると考えられるようになったきっかけとはなんだったのでしょうか?それは日本の大学受験生の英語力のレベルアップのために、文部科学省自らが、英語力の到達目標レベルの目安として、国内で受験できる英語の各資格・検定試験と「CEFR(セファール)」と呼ばれる、言語能力の熟達度を測る国際的な尺度との「対照表」(上の表参照)を作成~公開したことによると、やはり本誌では考えています。大雑把に表現すると、少なくとも今後の大学受験生は、「実用英語検定試験(英検)」の「2級以上(CEFRの「B1」レベル)」の力を身につけることを前提にするということを示したものでした。昔から英語教育に力を入れてきた私立中高一貫校の生徒が身につけてきた英語力のレベルを考えると、さほどハードルの高いものには感じられない到達目標でしたが、現在の日本の学校(全国の公立高校)の在校生の平均レベルの英語力を考えると、それはかなり高い障壁(課題)になると、小・中・高校生を持つ保護者の多くが受け止めたことで、私立中高一貫校の「英語教育」への期待と注目がさらに高まる結果となりました。

そして、ちょうど2015年の2月頃からのマスコミ報道で、2021年からの「大学入試(高大接続)改革」では、「英語4技能」の力が問われるようになることが伝えられ始めました。それを意識した小学生の保護者の「私学の英語教育」への期待と、「英語が得意な(好きな)生徒を招き入れたい」と考える私立中学校側のニーズが一致したことによって、左ページのグラフにあるように、2016年の入試から、中学入試にも「英語(選択)入試」を導入する私立中が年々、加速度的に増えていったのです。さらに、この2~3年の間に、「英語入試」に加え、英語の民間検定の取得級やスコアを判定材料に加えての、「加点や優遇」措置や、それらが受験資格に加えられる「英語資格入試」が、多くの私立中で急増していることも見逃せません。さらには、英語の筆記試験だけではなく、英語でのインタビューやヒアリング、対話やグループワーク、パフォーマンス型の「英語入試」などが登場してきたことも話題になっています。

私立中の新タイプ入試は、 これからどうなる!?

私立中の「適性検査型入試」や「英語入試」が増加したことと合わせて、それらの形態以外の“非教科型”のユニークな「新タイプ入試」が年々バリエーションを増やしています。わが子の得意なことや長所を評価してくれる「新タイプ入試」にチャレンジする意義はどこにあるのでしょうか。

将来の世の中と大学入試で求められる力を 育てることにつながる「新タイプ入試」

続いて、 「4科目・2科目」の教科型入試以外の多様でユニー クな私立中の入試(ここでは適性検査型入試を含み、英語入試 を除く)の数々が今後どうなっていくのかを考えてみましょう。 このなかには、適性検査型入試をはじめ、グループワーク型入 試や自己アピール(プレゼンテーション)型入試、プログラミ ング入試、思考力入試、総合型入試などがあり、これらを総称 して本誌では「新タイプ入試」と呼んでいます。いわゆる「非 教科型入試」のカテゴリーに入れられる入試と考えていただけ ると良いでしょう。  こうした「新タイプ」入試の実施校数は、下のグラフにある ように、英語入試と同様、2021年からの「大学入試(高大接続) 改革」の方向性がマスコミ報道され始めた2015年以降、急速 に増加に向かいました。2021~2022年には、首都圏の約300 校の私立中の半数の「150校」台に上りましたが、その後は数 校ずつ減って、今春2025年入試では「138校」となっています。 しかし、首都圏の私立・国立中学受験者総数が過去最多となっ た2023年には、実際にこれら「新タイプ入試」を受験した小 学生の数は1万8千人台まで増加していて、翌2024年入試でも、 ほぼ変わらない数多くの受験生が、これらのユニークな入試に チャレンジしています。

今春2025年に私立・国立中学校を受験した52,300名の受験生と、公立中高一貫校だけを受検した8,047名の受験生を合わせた60,347名が首都圏の中学受験・受検生の総数だとすると、そのうち28~30%となる17,000~18,000名の小学生が、何らかの「新タイプ入試」にチャレンジしているのは注目すべきことです。こうした「自分の得意なことや好きなこと、長所や強みを生かせる入試」が増えてきたことは、多くの小学生と保護者にとっては、「自分の(わが子の)良いところを評価してもらえる」入試として、大いに歓迎されていると考えて良いでしょう。一方、実施校数が2022年をピークにやや右肩下がりになっているのは、この3年続いている、過去最高の“中学受験ブーム”のもとで、「4科目・2科目」の教科型受験生の数も増えたことで、いったんは手間のかかる「新タイプ入試」をお休みした私立中も出てきたことによるものです。また、2025年に減少幅が広がったことは、首都圏の公立中高一貫校の志願者(受験者)数が、やや縮小に向かったことも影響していると考えられます。

ユニークな「新タイプ入試」は、今後さらに歓迎されて増えていく!

ここでは参考に、今春2025年入試で「新タイプ入試」を実施した138校が行った入試形態の一部を抜粋してご紹介しておきます。表中にあるように、近年では、筆記・授業型の「探究入試」や、視聴・聴解(聞いて解く)型の「視聴・リスニング型入試」、対話型の「口頭試問入試」なども登場していることが注目されます。このなかで、まだ少しずつですが、ここ数年(2021年以前と比べて)で増加傾向にあるのは、「自己アピール型入試」、「グループワーク型入試」、「探究型入試」などです。そして、おそらくはこの先、「プログラミング入試」や「思考力入試」なども、さらに増えていくと本誌では予想しています。それは、これらの入試形態が、今後の新たな大学入試で求められる力を育てる中高6年間の教育と、その先の大学入試と将来の世の中で求められる力を育んでいくことと、実はストレートにつながっているからです。

もともと中学入試は、まだ弱冠12歳の成長過程にある小学生の潜在的な力や学習意欲を試す入試でしたから、そこでは「隙の無い知識」の多寡や正確さを問うよりも、むしろ多少の弱点はあったとしても、将来に向けて伸びていく資質や潜在的な力、学習への意欲を見出してあげようとする趣旨の選抜方法でした。いつのまにか、それが「塾で徹底的に鍛えられた」小学生を選抜する入試という側面が強くなり過ぎたのが、ひとときの中学入試のあり方だったのではないかという見方さえできます。私立中高一貫校と私立中学校が、それぞれの教育理念と独自のアドミッション・ポリシーを反映した中学入試を行うことが本来の理想だと考えると、これらの「新タイプ入試」が一役を担っているという見方もできるのではないでしょうか。

中学入試情報誌『MyTYPE』とは

『MyTYPE』は、首都圏模試センターが発行する中学入試情報誌で、最新の入試動向や学校情報をわかりやすく紹介しています。偏差値データや合格者分析に加え、受験生の「タイプ」に応じた学校選びの視点が特徴です。学力だけでなく個性や学び方に合った進路を考えるヒントが得られ、保護者にとっても教育方針や学校生活を知る貴重な情報源となります。受験を通じて子どもの未来を見つめるきっかけとなる一冊です。今回は、2025年11月24日発行のmy TYPE第15号に掲載しました記事をご紹介します。

『myTYPE』2025年11月24日号のデジタルマガジンはコチラ

Vol.3につづく

この記事をシェアする
  • リンクをコピーしました