【横浜創英中学・高等学校】名監督に聞く
my TYPE第14号(2025年9月21日発行)掲載
記事:首都圏模試センター 立石 哲也 (元ラグビー部) 首都圏模試センター 野尻 幸義 (元野球部)
全国大会常連の横浜創英中学・高等学校バトン部。今回は、日々の練習や大会への 思い、そして生活面での成長まで、顧問の福田先生にお話を伺いました。見どころは、 単なる技術指導ではない、「人としての成長」を軸にした指導方針にあります。
バトン部の競技は「ソングリーディング」
まず、バトン部とはどのような活動をしているのでしょうか?
『バトン部』という名前ですが、実際には“ソングリーディング”という競技に取り組んでいます。ポンポンを持ち、音楽に合わせて踊る団体競技で、チアダンスの一種です。アメリカのフットボールの応援から派生した競技で、日本ではまだまだ認知度は高くありませんが、年々広まりつつあります。ソングリーディングは、ダンスを中心とした演技で競い合います。基本的な要素にはクラシックバレエ、筋力トレーニング、体幹、柔軟、そして表現力が含まれます。演技構成やチームの一体感、表情、姿勢、美しさまで総合的に評価される競技です。
経験ゼロからのスタートでも活躍できる理由
中学生から入部される多くの生徒さんは、小学生時代から経験しているのでしょうか?
実は、多くの生徒が未経験で入部しています。小さいころにチアダンスをイベントで少しだけ経験した子や、地域のスポーツクラブで踊ったことのある子はいますが、本格的に競技として取り組んだことのある子はほんの一握りです。部員の中には、クラシックバレエやダンスを習っていた子も多く、それぞれのベースを活かして練習を重ねています。中学生の段階では、技術よりも「楽しむ姿勢」と「やる気」が大切で、一から丁寧に教えることで、誰でも成長できます。ちなみに、高校生から入部してくる生徒は、中学生とは逆で、現在ほとんどが経験者です。高校から初心者で入部するのは毎年1人いるか、いないか程度です。
中高 6 学年で支え合う「縦のつながり」
練習は中学生と高校生が一緒に行っているのですか?
はい、基本的には六学年が一緒に練習しています。上級生が下級生を指導する場面も多く、自然と“背中を見て学ぶ”文化ができています。週6日の活動で、練習内容はハードです。走り込み、筋トレ、柔軟、体幹トレーニング、ダンス技術の基礎練習などを重ね、演技構成の練習に移ります。基礎をおろそかにしない姿勢は、代々受け継がれている「部のモットー」でもあります。
生活面での「応援される人間」への成長
技術面だけでなく、生活面の指導もされていると伺いました。
ソングリーディングは“人を応援する競技”です。だからこそ、自分たちがまず“応援される存在”であることが大切です。授業態度、挨拶、登下校、制服の着こなしまで、“見られる意識”をもって行動するよう指導しています。ソングリーディングは“人を応援する競技”です。だからこそ、自分たちがまず“応援される存在”であることが大切です。授業態度、挨拶、登下校、制服の着こなしまで、“見られる意識”をもって行動するよう指導しています。その言葉通り、顧問の福田先生は担任や教職員、生徒からも日頃の様子を聞き取り、生活面の情報を把握しています。成績面でも、あまりに悪ければ声掛けを行い、「応援される人であるか」が選抜の基準にもなるそうです。
総合型選抜での進学を見据えて
進学との両立はどのようにされていますか?
定期テスト前には練習をオフにしますし、日頃から授業に集中することを伝えています。最近では、総合型選抜や学校推薦型選抜で進学する生徒が多く、部活動での経験を志望理由に活かしている子もいます。練習後の時間を活用して自習したり、土日は半日の練習に抑えるなど、無理なく続けられるように配慮されています。学力と競技の両立も、部員の大切な目標です。
大会の目標は「自分たちの 最高の演技を届けること」
大会に向けた意気込みを教えてください。
生徒たちは全国大会上位入賞を視野に入れて努力していますが、私たちが大切にしているのは結果よりも過程や演技の質です。大会で『1位を取りたい』という思いはもちろんありますが、それ以上に大切なのは、『1位を取る演技とはどういう演技か』『そのチームはどんなチームなのか』という本質を考えることです。見ている人を魅了し、会場で一番輝く演技を目指して、日々の練習に励んでいます。結果はあくまでその延長線上にあるもの。生徒たちには、自分たちの最高の演技を全力で踊り切ることこそが何より大切だと伝えています。演技構成は外部の専門コーチが作成していますが、先生は生活面からメンバー選抜に関わり、「応援される生徒」を中心にチームを編成しています。演技の質だけでなく、日頃の姿勢が評価される部活動と言えます。
バトン部を通じて育む「強さとしなやかさ」
最後に、先生がこの活動を通して生徒に伝えたいことを教えてください。
踊ることを楽しむ心、そして社会で自立して生きる強さを持ってほしいです。特に女性には“しなやかな強さ”が必要だと思うので、ここでの経験を将来に活かしてほしいです。部活動を通して、技術や表現力だけでなく、人としての基本的な姿勢、協調性、自立心を育む横浜創英中学・高等学校のバトン部は、まさに“人を育てる部活”として、多くの生徒の成長を支えています。
中学入試情報誌『MyTYPE』とは
『MyTYPE』は、首都圏模試センターが発行する中学入試情報誌で、最新の入試動向や学校情報をわかりやすく紹介しています。偏差値データや合格者分析に加え、受験生の「タイプ」に応じた学校選びの視点が特徴です。学力だけでなく個性や学び方に合った進路を考えるヒントが得られ、保護者にとっても教育方針や学校生活を知る貴重な情報源となります。受験を通じて子どもの未来を見つめるきっかけとなる一冊です。今回は、2025年9月24日発行のmy TYPE第13号に掲載しました記事をご紹介します。
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