受験生マイページ ログイン
受験情報ブログ

ミライ教育Watching座談会【探究学習・グローバル教育編】(25年10月実施)Vol.1

未来の教育を語る!

my TYPE第15号(2025年11月24日発行)掲載


主催・ファシリテーター:ミライクリエ

ミライ教育Watching座談会とは!?

私学の教育者・先生方をお招きし、「ミライ教育Watching座談会未来の教育を語る(探究学習/グローバル教育編)」を開催しました。

近年、教育のあり方は変化し、知識の暗記に加え、思考力・創造力・問題解決能力が求められる時代となっています。座談会には各私学の教育者・先生方が集まり、未来の学びについて活発な議論が交わされました。受験を控える受験生や保護者の皆様にとって、進路選択の参考となる貴重な機会となるでしょう。

(主催・ファシリテーター:ミライクリエ)

今回の記事は、Webにて2部構成でご紹介しています。

ミライ教育Watching座談会【探究学習・グローバル教育編】(25年10月実施)Vol.1はコチラ

ミライ教育Watching座談会【探究学習・グローバル教育編】(25年10月実施)Vol.2はコチラ

1)従来の学習と探究学習の違い

従来の学習と探究学習の違いについて、教えてください。

【神杉先生】探究学習の本質は「生徒主体」という言葉に集約されると感じています。城西大学附属城西ではコロナ以前から探究型の学びを進めており、振り返ると従来の授業にも探究的な要素が内在していたことに気づかされます。 本校は創立107年を迎えますが、2代目学園長・野口援太郎が実践した「大正自由教育」はまさに探究の原点でした。池袋西口の自宅で行われた児童教育では、子どもたちが昆虫や花、物語など自らの興味を起点に学びを深め、自由な対話や創造を通じて「小さな図書館」を作るなど、環境全体が学びの場となっていました。これは、答えありきではなく、子どもの速度で深掘りする現在の探究学習に通じます。 現在は中高一貫校として探究を再構築し、教員はファシリテーターとして生徒の関心を拾い上げ、対話を通じて学びを導いています。AI の登場など急速な社会変化の中で、私自身も「今、何が子どもたちにとって最良か」を問い続けています。 探究の具体例としては、修学旅行を「海外研修」「国内研修」と位置づけ、ハワイでは多様性や文化、台湾ではアジア共通の課題、国内では地域課題を通じた自然・自己探究を実施しています。探究とは、子どもたちの「知りたい」「やってみたい」から始まる学びの営みです。これからも時代の変化に応じ、柔軟かつ誠実に探究を育んでいきたいと考えています。

【中野先生】工学院大学附属の「探究」は、教科・特別活動・課外活動のすべてに通じる教育の核であり、「好きだからこそ深めたい」という生徒の内発的動機を尊重しています。授業では教員の話す時間を最小限に抑え、導入とまとめ以外は生徒主体。グループでの対話や教え合いを通じて互いに刺激し合いながら学びを深めます。教員は必要に応じて伴走し、議論を促したりアイディアを整理したりする支援役に徹します。 高校では「Global Project」として修学旅行に相当する活動を生徒自身が企画。入学後に社会課題を調べ、関心に応じて行き先とテーマを決定します。今年はラオス、カンボジア、グアム、台湾、中国・四国地方などに分かれ、課題解決型のフィールドワークを実施。 中学では先進クラスがオーストラリアでホームステイを行い、インターナショナルクラスは新たに「Mission on the Ground(MoG)」を開始。インドネシアで生活困窮やジェンダー課題に向き合い、現地調査や事業提案、試作品づくりなどに挑戦しました。生徒が自ら考え行動する中で思考力と行動力は驚くほど伸び、教員が信頼して任せることが生徒の 主体性を引き出しています。

【佐藤先生】文京学院大学女子の探究活動は、学年ごとに担当教員を配置し、学年全体で同時に授業を行う体制を整えています。中学では 3〜 4クラス、高校では 6クラスを 3 クラスずつに分けて実施。教員も自らの裁量で進められるよう工夫され、毎週の探究部会を起点に改善を重ねています。 中学では特に「殻を破る」ことが課題で、教員が口出ししすぎず、生徒が調べ学習を超えて自ら問いを立てる探究へ進めるよう支援しています。中学 3 年生になるとようやく自発的な探究が芽生え始め、最近では AI を活用した商品開発のような実践的活動も見られます。例えば、生徒たちはスマホカバーのデザインを自ら考案し、AI にプロンプトを入力して生成するなど、販売可能なレベルの成果を生み出しています。 高校では中学からの内部進学生と外部生が混ざるため、1年次はゼロスタートで再編成し、教員が主導して探究の基礎を築きます。資料の扱いやまとめ方など「探究の武器」は教員が提供しつつ、生徒が主体的に形にしていきます。高校 1年では学園祭で成果発表を目標に文理を問わず多様なテーマに取り組み、2 年からは文系・理系に分かれて専門的探究を深めています。教員は必要な支援を行いつつ、生徒の主体性を尊重しています。

2)英語教育とグローバル教育の違い

英語教育とグローバル教育の違いについて、教えてください。

【佐藤先生】英語学習というと「英語を学ぶ」ことを指しますが、グローバルな視点では「英語で学ぶ」ことへとシフトしていくと考えています。どちらも大切で、特に探究的な学びと重なる部分が多くあります。探究では「思考力」「判断力」「表現力」が求められますが、英語を通してそれらをどう育んでいるか、文京学院大学女子の現在の実践を紹介します。 高校生の帯学習では、毎時間の冒頭に「インタビューカード」を用いた活動を行っています。カードは 2 枚用意し、毎週異なるペアを組んで、20 〜 30 秒読んだ後に内容を英語で説明し合います。毎週違う相手と取り組むことで、少しずつ表現の幅が広がり、「こんな言い方があるんだ」と気づきを得ています。後半では、英検 2 級レベルの物語を題材にペアでストーリーを語り合い、最後に 1 人が全体の前で発表します。この際も「正解・不正解」ではなく、「こんな表現もあるね」と互いの表現を認め合う姿勢を大切にしています。 高校 3 年生になると、YouTube など海外教材を活用し、ジェンダー問題など社会的テーマについて英語で意見を述べる活動も行います。例えば「オリンピックに出場するトランスジェンダー選手についてどう考えるか」といった問いに対し、多様な視点に触れながら自分の考えを深めます。こうした実践は、「英語で学ぶ」グローバルな学びの一例 として位置づけられると考えています。

【神杉先生】 城西大学附属城西は、昨年と一昨年、全国の私立中学校における英検取得率で第 1 位に輝きました。これは長年にわたる英語教育の成果であり、1982 年から 43 年間継続してきた留学プログラムとも連動しています。英語圏を中心にアジアも含めた 7 カ国 13 校と提携し、生徒たちは多様な文化に直接触れ、世界を体感しています。英語はあくまで手段であり、その先にある「何を学ぶか」がグローバル教育の本質です。 ある生徒は中学 3 年でオーストラリアに 2 週間のホームステイに参加した際、言葉の壁に直面し帰国しました。しかし、短期留学で自信を重ね、最終的に 1 年間の長期留学へと挑戦。カナダで「相手を肯定した上で自分の意見を述べる」文化に触れ、自己決定力と主体性を身につけました。帰国後は大学選びも自らの意思で進め、グローバル教育の成果を体現しています。

【中野先生】英語教育は「道具の使い方」に近く、グローバル教育は「それを使って何をつくるか」に近いと感じています。英語が流暢でも、それを何に活かすかが問われるからです。たとえば、のこぎりやハンマーの使い方を完璧に知っていても、目的に適った何かをつくれなければ意味がありません。 英語力が高ければグローバル教育においても優れているかというと、そう単純ではありません。昨年オーストラリアで、英語が苦手な生徒が現地の生徒たちと最も早く打ち解ける場面を目にしました。飛び込む力や関わろうとする姿勢こそが何より大切であり、英語力とコミュニケーション力は必ずしも同義ではないと痛感しました。また、グローバル教育というと異文化理解に注目しがちですが、「あなたはどうなのか?」「日本はどうなのか?」と問われたときに答える力も不可欠です。日本にいると、自分自身や自国の文化について深く考える機会は少ないかもしれません。しかし、それを理解していなければ対話は成立しません。異文化理解の前提として、自己理解とローカル理解が必要なのです。結局、グローバル教育とは、多様な視点で物事を考え、異なる価値観に触れながら、自分自身の軸を見つけていくプロセスだと思います。探究的な学びとグローバル教育の境界は曖昧であり、ひいては「幸せとは何か」を考えることにも通じているのかもしれません。

中学入試情報誌『MyTYPE』とは

『MyTYPE』は、首都圏模試センターが発行する中学入試情報誌で、最新の入試動向や学校情報をわかりやすく紹介しています。偏差値データや合格者分析に加え、受験生の「タイプ」に応じた学校選びの視点が特徴です。学力だけでなく個性や学び方に合った進路を考えるヒントが得られ、保護者にとっても教育方針や学校生活を知る貴重な情報源となります。受験を通じて子どもの未来を見つめるきっかけとなる一冊です。今回は、2025年11月24日発行のmy TYPE第15号に掲載しました記事をご紹介します。

『myTYPE』2025年11月24日号のデジタルマガジンはコチラ

Vol.2につづく

この記事をシェアする
  • リンクをコピーしました